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線維化が強い部分の剥離について(胃ESD)
In Q&A
Shin Ichihara
2022年5月16日
札幌厚生病院病理の市原でございます。内視鏡に反映される「粘膜下層の線維化」についてですが、病理との対比を行いますと、 ・粘膜筋板に近い、浅い部分の線維化: 色調で認識できることが多い(白色の面状局面)。また、粘膜の引き連れからも予測はわりとしやすい ・粘膜筋板より深い部分(固有筋層に近い部分)の線維化: (粘膜というよりも)ひだの引き連れ・伸展性の悪さ・変形で察するしかなく、じつは難しい という感じです。深い部分の変化は(欧米の内視鏡医が特に苦手とする)空気量の変化に伴う微妙な差を見極めるしかなく、けっこう難しいと思います。 過去の筋板損傷の原因が「かなり深い潰瘍だった」 ときなど、思った以上に深い部分で線維化が広がっていることがあります。ではその「かなり深い潰瘍」というのがいつどのように起きるかというと、「ESDによる損傷」がまさに代表なのです。したがって、ESD瘢痕部周囲を再ESDする場合や、消化性潰瘍瘢痕が多発している場所をESDする場合には、色調や粘膜表面の引き連れだけではなく、固有筋層自体に伸展性の悪さが出ていないかどうかを、空気量を変えながら慎重に判断……いやまあそれほんと難しいと思いますが……判断するしかないと思いました。 参考文献(自著ですみません):潰瘍瘢痕合併胃癌を極める!UL診断力強化ブック(医学書院、野中康一・市原真)
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